エアロプレスは、空気圧を利用してコーヒーを抽出する、注射器のような形状の器具です。
本記事では、エアロプレスの特長や短所からフレンチプレスとの違い、インバート式(反転式)による簡単な抽出方法の具体的な手順まで、ていねいに解説しています。
エアロプレスを使って、しっかりとした厚みやとろみを感じる、濃厚な味わいのコーヒーを淹れてみましょう。
エアロプレスとは

エアロプレス(AeroPress)とは、アメリカのアウトドア用スポーツ玩具メーカーであるエアロビー社の創業者、アラン・アドラー氏によって2005年に発明された、空気圧を利用してコーヒーを抽出する、注射器のような形状の器具です。
その特長

エアロプレスの使い方はとてもシンプルで、コーヒー粉とお湯を入れて、プランジャーでプレスするだけです。
とくに高度な技術も必要なく、誰でも短時間の抽出で、ハンドドリップとは異なる濃厚でクリアな味わいを引き出すことができます。
プラスチック(ポリプロピレン)製のエアロプレスは、手軽で扱いやすく、片付けの簡単さなどから、旅行やアウトドアでも重宝します。
レシピのカスタマイズ性の高さから、世界中で人気のあるコーヒー抽出器具で、各国で開催される国内大会の優勝者などが集まり、世界一おいしいエアロプレスコーヒーを淹れるチャンピオンを決める世界大会(WAC – World AeroPress Championship)も開催されています。
エアロプレスの短所

一般的な他のコーヒー抽出器具と比べて、価格設定が高めであることが、これほど魅力的な抽出器具にもかかわらず、エアロプレスが今ひとつ普及しない理由の一つではないかと考えます。
エアロプレスの短所としては、コンパクトであるが故に、容量が限られるため、数人分を一度に抽出できないことや、簡単手軽さを優先してなのか、チャンバーの目盛りがアバウト(目盛りの単位がmlではなく①②③④とざっくりとした表示)であることなどが挙げられます。
現在使用中のエアロプレスは、Amazonで購入当時(2017年3月)税込4,094円でしたが、今現在(2026年1月)の価格はその倍以上になっていますので、個人的には、けっこう「値が張る」という印象を持っています。
この価格設定であれば、後述します「フローコントロール」を標準装備にしてほしいと思います。
フレンチプレスとの違い
フレンチプレスとエアロプレスは、どちらもコーヒー粉とお湯を入れて抽出する「プレス式」ですが、エアロプレスは、次の点がフレンチプレスと異なります。
・フレンチプレスよりも短時間で淹れられます … フレンチプレスは「じっくり浸す」のに対し、エアロプレスは「素早く押し出す」イメージです。
・ペーパーフィルターを使うので、カップに微粉が残りません … フレンチプレスは、金属フィルターを使うので、コーヒーオイルや微粉も抽出されます。
・エアロプレスは自由度が高いとされています … 淹れ方(レシピ)次第で、エスプレッソ風からドリップ風まで、多様な味わいを楽しめます。
・ペーパーフィルターとコーヒー粉をワンプッシュでゴミ箱へ … フレンチプレスと比べて、後片付けがとても簡単です。
スタンダード式とインバート式

エアロプレスには大きく分けて、取扱説明書どおりの抽出を行うスタンダード式(標準式)とエアロプレスを逆さまにして抽出を行うインバート(invert)式(反転式)の2種類の抽出方法があります。
なぜ、公式の抽出方法があるにもかかわらず、このインバート式が編み出されたのでしょうか?
実は、スタンダード式(標準式)の抽出方法には、お湯を注ぎ始めると同時に、底から未だ抽出不完全なコーヒー液が、ポタポタとサーバーやマグカップに落ちていくという決定的な弱点があります。
この弱点を補うために編み出された方法が、エアロプレスを逆さまにして抽出を行うインバート式(反転式)抽出法というわけです。
今回は、エアロプレスを日常的に使用することを意識して、温度計やタイマー、スケール(秤)などを使用しない、インバート式(反転式)による、簡単な抽出方法を紹介します。
フローコントロール
お湯を注ぎ始めると同時に、プレスする前に未だ抽出不完全なコーヒー液が、底からポタポタと滴り落ちるのを防いで、コーヒーの成分を引き出すための時間をコントロールできる「フローコントロール」というパーツが別売で用意されています。
エアロプレスを逆さまにして抽出を行うマニアックなインバート式(反転式)の抽出方法には、どうしても抵抗があるという方には、この「フローコントロール」を使用するのがおすすめですが、これもけっこう「値が張る」という印象を個人的には持っています。
前述したように「フローコントロール」は、別売のオプションではなく、エアロプレス本体の標準装備にしてほしいと思います。↓広告
抽出に必要な器具

・エアロプレス一式
・パドル
・マグカップ

(左から)パドル(撹拌棒)、チャンバー(外筒)、プランジャー(内筒)
(右上)ペーパーフィルター
(右下)フィルターキャップ
エアロプレスの使い方
今回のレシピ(抽出条件)

今回は、エアロプレスを日常的に使用することを念頭に、温度計やタイマー、スケール(秤)などを使用しない、インバート式(反転式)による、簡単な抽出方法を紹介します。
・コーヒー粉:中細挽きのコーヒー粉14~15g
・抽出量:マグカップ1杯分200~210ml (お湯は多めに沸かしておきます)
抽出の手順

エアロプレスを使ってコーヒーを抽出する、簡単なインバート式(反転式)抽出法の手順を詳しく解説します。
ステップ1.
やかんや鍋などでお湯を沸かし、ドリップポットに移して、1分ほど放置します。
湯温が85~90℃くらいまで下がります。
※湯温の変化の目安
その時の室温にもよりますが、容器の移し替えで5~10℃くらい、ポットのフタをあけて1分の放置で5℃くらい下がります。

ステップ2.
マグカップにのせたキャップに、ペーパーフィルターをセットし、お湯をかけておきます。
ペーパーフィルターをキャップに密着させると同時に、マグカップを温めておきます。

ステップ3.
プランジャーを、チャンバーの④のあたりまで差し込んで、逆さまにした状態で立てます。

ステップ4.
コーヒー粉を入れます。

ステップ5.
半分くらい(②のあたりまで)お湯を注ぎます。

ステップ6.
パドルでゆっくりと5回くらい、撹拌します。

ステップ7.
容量いっぱいまで、お湯を注ぎます。

ステップ8.
ペーパーフィルターの張り付いたキャップをしっかり締めて、少しプレスして空気を抜きます。
内部の空気を抜いて真空に近い状態を作ることで、ひっくり返した時の飛び散りや液漏れなどのリスクを軽減することができます。
※ここで少し(30秒~1分くらい)時間を置くことで、抽出時間を調整することもできます。

ステップ9.
お湯をすてたマグカップをかぶせて、ひっくり返します。
円を描くように軽く2~3回ゆすってから、しばらく(15~20秒くらい)置きます。
ひっくり返した後、バラバラに浮遊する内部のコーヒー粉を均一に分散させ、しばらく置くことで粉がしっかり沈んで安定します。

ステップ10.
一定の速度を保って30秒くらいかけて、ゆっくり、やさしくプレスします。

ステップ11.
「シュー」という空気の抜けるような音がしたら抽出完了です。
最後までプレスし切った際に出てくる泡は、雑味やえぐみの原因になるため、プレスし切る直前で止めるのが、おいしく仕上げるポイントです。
※ここで少しお湯をつぎ足すことで、コーヒーの濃度や温度を調整することもできます。
ステップ12.
後片付けがとても簡単です。
キャップを外してプランジャーを最後まで押し込むと、ペーパーフィルターとコーヒー粉を簡単に「ポン」と押し出して捨てることができます。

出来上がりのカップ
口の中でしっかりとした厚み、とろみを感じる、濃厚な味わいのコーヒーが出来上がりました。
ペーパーフィルターで濾してはいますが、わずかに油分(コーヒーオイル)が浮いており、これがコーヒーに濃厚でまろやかな口当たりをもたらします。
まとめ
エアロプレスの使い方はとてもシンプルで、コーヒー粉とお湯を入れて、プランジャーでプレスするだけです。とくに高度な技術も必要なく、誰でも短時間の抽出で、ハンドドリップとは異なる濃厚でクリアな味わいを引き出すことができます。
今回の記事では、エアロプレスを日常的に使用することを念頭に、温度計やタイマー、スケール(秤)などを使用しない、インバート式(反転式)による、簡単な抽出方法を紹介しました。
本記事を参考に、エアロプレスを使って簡単手軽に、しっかりとした厚みやとろみを感じる、濃厚な味わいのコーヒーを、ぜひお楽しみください。

