コーヒーのブレンドは、ストレートの豆では得られない味わいを、複数の豆を混ぜ合わせることで、独自の風味や味を生み出します。
本記事では、コーヒーをブレンドする目的やマイブレンドの作り方、ブレンドの組み合わせのヒントなどを、分かりやすく解説します。
これから、コーヒーのブレンドに挑戦してみたいという初心者の方の参考となることができれば幸いです。
ブレンドとは

ブレンドとは、ストレート(単一)の豆では得られない味わいを、複数の豆を(特定の割合で)混ぜ合わせることで、独自の風味や味を生み出すことです。
ブレンドの目的
ブレンドコーヒーを作る主な目的は、次のとおりです。
1.品質を安定させるため。
2.コストパフォーマンス向上のため。
3.味を創造するため。
4.独自性を発揮させるため。
ブレンドコーヒーを作る目的は、上記のとおり様々ありますが、プロとアマチュアでは違ってくると思います。
自家焙煎・ロースターなどのプロのブレンド作りには、上記1や2も非常に重要な目的となりますが、家庭でマイブレンドを自由に組み合わせて楽しみたいというアマチュアの方にとってのブレンドの目的は、3と4が中心になってくると思われます。
ブレンドのタイミング
ブレンドするタイミングの違いによって、「プレミックス」と「アフターミックス」の2つの方法があります。
| 名称 | 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| プレミックス | 生豆の状態で混ぜる | 工程がシンプル | 色々な味を作り難い |
| アフターミックス | 焙煎豆の状態で混ぜる | 表現できる味のバリエーションは無限大 | 工程が複雑 |
それぞれの方法には、メリットとデメリットがありますので、ブレンドコーヒーを作る目的によって、どちらかを選択することになります。
表記についてのルール
ブレンドしたコーヒーの表記については、ルールがあって「ブルーマウンテンブレンド」のような特定の産地を強調した商品名にする場合は、それを「生豆換算で30%以上配合しなければならない」ことが「全日本コーヒー公正取引協議会」により決められています。
より詳しいことは、また別の記事で書いてみたいと思います。
マイブレンドの作り方

まず、自分が「どういう味を表現(創造)したいのか」のイメージを持つことが大切です。

そして、そのイメージに合うように、具体的に「豆の種類、焙煎度合い、ブレンドの比率」を考えていきます。
ブレンドに使用する豆
使用する豆として、その候補に挙げられるのは、主に次のとおりです。
- ブラジル
- コロンビア
- グアテマラ
- モカ(エチオピア)
- キリマンジャロ(タンザニア)
- マンデリン(インドネシア)
この基本6種類だけでも、配合比率のみならず、それぞれの豆についての焙煎度を少しずつ変えていけば、その組み合わせは無限大です。
それぞれの豆を何度も飲み比べて、その香味の特徴をしっかりと把握しておくようにしましょう。
ブレンドの配合方法
ブレンドの配合方法には、いくつもの考え方がありますが、今回は、その中でも特に代表的な配合方法を紹介します。
それは、まずベースとなる豆を決めて、その豆に足りない香味を別の豆を少量足すことで補って、味を作る方法です。
自分の最も好きな味を、ブレンドコーヒーの味のベースと決めて、そこに他の豆の味をアクセントとして加えていきます。

例えば、ベースの豆として、まろやかな酸味とほどよいコクを持つ「コロンビア」を選んだ場合、香りを補うために「モカ」を、苦味を補うために「マンデリン」を、といった具合に、他の豆の風味をアクセントとして加えていきます。
配合する豆の種類
ブレンドするコーヒー豆が多くなればなるほど、味が平たくなりますし、味にばらつきが出てしまい、安定した味を表現できません。
ブレンドコーヒーを初めて作る初心者の方は、飲んだときにそれぞれの特徴を感じられるよう、まずは、コーヒー豆2~3種類の配合から始めてみましょう。
配合の比率
ベースとなる豆は、個性的な風味を際立たせたい場合は、50%以上配合します。
ブレンドコーヒーを初めて作る初心者の方は、まずは次のような配合比率から、試してみることをおすすめします。
- 2種配合 7:3
- 3種配合 5:3:2 6:2:2 7:2:1
組み合わせのヒント
基本的にブレンドの方法は自由で、その組み合わせは無限大にあります。

個人でブレンドコーヒーを楽しむ場合には、ブレンドを作るためのルールや決まりもありません。自分で作ったブレンドコーヒーがおいしければ、そのブレンドは成功なのです。

同じ産地の焙煎度違いのブレンド
通常、ブレンドには複数の種類の豆を使用しますが、1つの生産国の豆でも焙煎度が違えば、立派なブレンドコーヒーができあがります。
例えば、コロンビアの中煎り7に対し、同じコロンビアの深入りを3の割合でブレンドしてみてください。
コロンビアの中煎りだけのときよりも、風味に奥行き(立体感)が出て、実においしいブレンドコーヒーができあがります。
浅煎り豆配合の健康ブレンド
コーヒーには、クロロゲン酸というポリフェノールの一種が含まれていることは、今や広く知られています。
クロロゲン酸には、抗酸化作用や炎症抑制作用、血糖値上昇の抑制作用など、様々な健康効果があるとされています。
あまり知られていませんが、コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、焙煎度に応じて減少しますので、深煎りになればなるほど、含まれるクロロゲン酸の量は、少なくなります。
つまり、健康効果を期待してコーヒーを飲む場合には、クロロゲン酸が多く含まれる「浅煎り」のコーヒーを飲む必要があるのですが、「浅煎りの酸味が苦手」「コーヒーらしい苦味も欲しい」という方には、「浅煎り」の豆を適量混ぜ合わせて、「健康ブレンド」を試してみることをおすすめします。
カネフォラ種(ロブスタ)のブレンド
カネフォラ種(ロブスタ)は、アラビカ種に比べて、風味が劣るとされることが多く、単体で飲まれることはあまりない品種ですが、ブレンドの世界においても、低価格ブレンドの増量用というイメージからか、ブレンドにはアラビカ種のみを使い、風味の劣るロブスタの使用は避けるべきだという考え方もあります。
しかし個人的には、ロブスタは、料理における薬味のように、ほんの少し(数%~10%くらい)加えることで、味を引き締めたり、持ち味を更に魅力的にする効果があると考えています。
ロブスタを少量加えることによって、味わいにまとまりが生まれ、全体のバランスを整えてくれたり、後味に少し重みが出てきたりしますので、ぜひ一度試してみてください。
ブレンドを作る前提として、大切なこと

ブレンドを作る前提として、ブレンドコーヒーを構成するパーツである各々の豆の特性を、しっかりと把握している必要があります。
「どの豆を、どの程度焙煎すれば、どのような味になるのか」をしっかり理解していないと、どの豆をどのような比率でブレンドすれば、自分のイメージした風味になるのか、を想像することができないからです。
コーヒーのプロが作るブレンドというのは、的確な焙煎を行う技術とともに、それぞれの豆の味を判別する味覚を必要とする、非常に高度な技と言えるわけです。
まとめ
コーヒーのブレンドは、ストレートの豆では得られない味わいを、複数の豆を混ぜ合わせることで、独自の風味や味を生み出します。
コーヒー豆の組み合わせと配合比率のみならず、それぞれの豆についての焙煎度を少しずつ変えれば、その組み合わせは無限大です。
家庭でコーヒーのブレンドを楽しむ場合は、「違う豆を加えると味が変わる」「同じ配合比率でも焙煎度を変えると味が変わる」という味わいの変化を楽しむところから始めて、少しずつ自分好みの味をさぐり、マイブレンドを追求していきましょう。



