もともとは妊娠中や授乳中の女性からの需要を背景に成長を遂げてきたデカフェ(カフェインレス)市場ですが、近年は健康志向の高まりにより、1日のカフェイン量を調整したい人、質の高い睡眠を求める人など、年代や性別を問わず、幅広い人々から求められるようになっています。
本記事では、デカフェ(カフェインレス)とは?ノンカフェインとの違いから、デカフェ(カフェインレス)コーヒーの作り方(カフェイン除去の3つの方法)、普通のコーヒーとの味の違い?100mlあたり&1杯あたりの飲み物ごとのカフェイン含有量と安全なカフェイン摂取量の目安、妊婦さんや授乳中の方におすすめのデカフェ(カフェインレス)コーヒーまで、詳しく解説しています。
デカフェ(カフェインレス)とは?ノンカフェインとの違い
デカフェ(カフェインレス)とは?
「デカフェ(decaf)」とは、英語の「decaffeinated(カフェイン抜きの、脱カフェインされた)」を略したもので、コーヒー豆などからカフェインを除去したものを指します。
コーヒーに限らず、カフェインを含むものからカフェインを除去した場合にもデカフェと呼ぶため、デカフェの紅茶やお茶などもあります。
デカフェ(デカフェネイティッド)の他に「カフェインレス」という類似用語がありますが、いずれも本来カフェインが含まれるものから除去したものを指し、同じ意味合いで用いられます。
これに対して「ノンカフェイン」という類似用語もありますが、これはカフェインが全く含まれていないものを指します。

全日本コーヒー公正取引協議会では、カフェインが90%以上除去され、一定の基準をクリアしたコーヒーが「カフェインレスコーヒー」「デカフェネイティッドコーヒー」と表示できることとなっています。
参照元:
全日本コーヒー公正取引協議会>コーヒーの表示規則>レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約(外部リンク)
ノンカフェインとの違い
「ノンカフェイン」とは、麦茶やルイボスティー、ハーブティー、たんぽぽコーヒー(※)のように、もともとカフェインが含まれていない飲料や食物のことで、カフェインレスやデカフェのように本来カフェインを含むものからカフェインを除去したもの(10%未満のカフェインが残る)とは異なり、カフェインを一切含まない(カフェイン0%)ものになります。
※ たんぽぽコーヒー … 乾燥・焙煎したタンポポの根から作られる飲料で、代用コーヒーの一種。
デカフェ(カフェインレス)コーヒーの日本での需要
日本ではまだ一般的とは言えませんが、欧米ではデカフェ(カフェインレス)コーヒーには一定の需要があります。
なぜ日本ではデカフェ(カフェインレス)コーヒーが、欧米ほど普及していないのでしょうか?
★ 日本でデカフェが広まりにくい理由については、次のようなことが考えられます。
1.コーヒー=「眠気覚まし」という認識
… 日本ではこれまで長い間、コーヒーは「眠気を覚ます飲み物」として認識されてきました。カフェイン=コーヒーの価値というイメージが根強い傾向があり「カフェインがないコーヒーをわざわざ飲む理由が少ない」と感じる人も多いようです。
2.カフェイン制限への意識が欧米ほど強くない
… 欧米では、健康志向の高まりとともに「夜でも飲めるコーヒー」としてデカフェが定着しています。一方、日本ではカフェイン制限への意識は徐々に高まってはいるものの、欧米ほど一般的ではありません。
3.「デカフェは味が劣る」というイメージ
… 以前のデカフェは「香りが弱い」「コクが少ない」といった品質の問題がありました。そのため日本では今でも「デカフェ=おいしくない」という印象を持つ人が一定数います。しかし現在では、後述の「スイスウォータープロセス」や「超臨界二酸化炭素抽出」などの技術により、味の差はかなり小さくなっています。

日本ではこれまで長らく限定的だったデカフェ(カフェインレス)コーヒーの需要ですが、近年は健康志向の高まり(妊娠中のカフェイン制限、睡眠の質への関心など)を受けて、徐々に拡大しています。
カフェイン除去の3つの方法
カフェイン除去の方法は時とともに進化してきましたが、コーヒー生豆に対して施すという点だけは、昔も今も変わりません。
★ カフェインの除去方法は大きく分けて、次の3つの製法があります。
① 有機溶媒(薬品)による除去方法
… ジクロロメタンなどのカフェインが溶け出しやすい有機溶媒にコーヒー生豆を漬けてカフェインを選択的に除去する製法です。
② 水による除去方法(スイスウォーター式)
… コーヒー生豆を水に浸けて、カフェイン以外の水溶性の成分をあらかじめ溶かし出しておいた飽和水を用意し、その水にコーヒー生豆を漬けることでカフェインを選択的に除去する製法です。
… 有機溶媒ではなく水を使用するため、安全性に優れますが、比較的、香りなどが抜けやすい傾向にあります。
③ 二酸化炭素による除去方法(超臨界二酸化炭素方式)
… 二酸化炭素(気体)に圧力をかけて、気体と液体の両方の性質をもった状態(超臨界の状態)、あるいは液体の状態にして使用します。この特殊な状態の二酸化炭素でコーヒー生豆を処理することで、カフェインを選択的、かつ効率的に除去する製法です。
… 他の製法よりもカフェインのみを効率的に除去できるため、香りなどは抜けにくいのですが、それなりの製造設備が必要になりますので、製造コストは高くなります。
主に大手コーヒー会社などで採用されています。
★ 以上3つの除去製法のうち、①の有機溶媒(薬品)によって処理されたデカフェ(カフェインレス)コーヒーは、安全性の観点(溶媒の残存性の問題や発ガン性の問題)から、日本での流通は認められていません。

現在日本で流通しているデカフェ(カフェインレス)コーヒーは「水」または「二酸化炭素」を用いた製法で処理されています。
普通のコーヒーとの味の違いは?
カフェイン除去の処理前とはコーヒー生豆に含まれている成分に、どうしても違いが生じますので、それは風味の違い(香りが弱い、コクが少ないなど)になってきます。カフェイン以外の他の成分に影響を与えにくいように工夫がなされてはいますが、完全ではありません。
しかし現在では「生豆の高品質化」や前述の「スイスウォータープロセス」や「超臨界二酸化炭素抽出」などの処理技術により、普通のコーヒーとの味の差はかなり小さくなっています。

デカフェ(カフェインレス)のコーヒーと普通のコーヒーとの味の違いは「少し違うが、近年はかなりその差は小さい」ものになっています。
飲み物ごとのカフェイン含有量

カフェインの人に対する影響
カフェイン過剰摂取時の一般的な急性作用には、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、消化器系の不調などがあります。また、長期的な作用として、個人差はありますが、高血圧のリスクが高くなることがあります。特に妊娠中に摂り過ぎると、胎児の発育に影響が及ぶ可能性が指摘されています。
飲み物ごとのカフェイン含有量(100mlあたり)
コーヒーはカフェインが多い飲み物として広く知られていますが、お茶などにも相当量のカフェインが含まれています。カフェインは、コーヒー豆や茶葉などに天然に含まれており、コーヒーとお茶がカフェインの主要な摂取源となっています。
| 飲み物 | カフェイン含有量(100mlあたり) |
|---|---|
| 玉露(浸出液) | 160mg / 100ml |
| コーヒー(浸出液) | 60mg / 100ml |
| 紅茶(浸出液) | 30mg / 100ml |
| 煎茶(浸出液) | 20mg / 100ml |
| ウーロン茶(浸出液) | 20mg / 100ml |
| ※ デカフェコーヒー(浸出液) | 6mg / 100ml |
| 麦茶(浸出液) | 0mg |
※ デカフェコーヒーは、カフェインを90%以上取り除いたものと定義されています。
一般的なコーヒーは、100mlあたり約60mgのカフェインを含有しています。
これと比較して、紅茶はコーヒーの1/2、煎茶やウーロン茶は1/3、玉露には2.5倍以上のカフェイン含有量になりますが、玉露は一回に飲む分量が少ないので、実際の1杯あたりのカフェイン摂取量はコーヒーより少ないかもしれません。
飲み物ごとのカフェイン含有量(1杯あたり)
ここでは、飲み物ごとに日常生活で実際に飲む一杯の分量には、どれくらいのカフェインが含まれているのかをまとめてみました。
一杯の分量は、個人の好みやカップの容量によっても異なりますが、あくまで一例としての分量で、前述の100mlあたりの数値に基づいて換算しました。
| 飲み物 | カフェイン含有量(1杯あたり) |
|---|---|
| コーヒー(浸出液) | 90mg / 150ml |
| 玉露(浸出液) | 80mg / 50ml |
| 紅茶(浸出液) | 45mg / 150ml |
| ウーロン茶(浸出液) | 30mg / 150ml |
| 煎茶(浸出液) | 20mg / 100ml |
| デカフェコーヒー(浸出液) | 9mg / 150ml |
| 麦茶(浸出液) | 0mg |
安全なカフェイン摂取量の目安
健康に悪影響のない安全なカフェイン摂取量の目安については、国際機関や各国政府等からアドバイスや注意喚起、ガイダンスが公表されています。
● 健康な成人
| 健康に悪影響のない カフェイン摂取量(1日あたり) | 機関名 |
|---|---|
| 400mg / 日 | 欧州食品安全機関(EFSA) |
| 400mg / 日 | カナダ保健省(HC) |

健康な成人の場合、1日あたりに摂取してもよいとされるカフェインの最大量は400mgとなっていますので、コーヒー1杯を150ml(カフェイン90mg/1杯)として、1日3~4杯程度を目安にするとよいでしょう。
ただし、カフェインに敏感な方などカフェインの効果の感じ方には個人差があるため、自身の適量を知っておくことも大切です。
● 妊婦さん
| 健康に悪影響のない カフェイン摂取量(1日あたり) | 機関名 |
|---|---|
| 300mg / 日 | 世界保健機関(WHO) |
| 200mg / 日 | 欧州食品安全機関(EFSA) |
| 300mg / 日 | カナダ保健省(HC) |
参照元:
農林水産省>カフェインの過剰摂取について(外部リンク)
食品安全委員会>お母さんになるあなたと周りの人たちへ(外部リンク)
妊婦さんや授乳中の方にはデカフェがおすすめ!


妊婦さんや授乳中の方の場合は、1日あたりに摂取してもよいとされるカフェインの最大量は200~300mgとなっていますので、デカフェではない一般的なコーヒーは1日2杯程度を目安にするとよいでしょう。
ただし、カフェインは茶飲料やコーラ飲料などにも含まれますので、コーヒーの飲用だけを制限しても、問題は解決しません。カフェインの摂取量をコントロールするのであれば、日々飲用しているすべての飲み物についても併せて考慮する必要があります。
カフェイン摂取量をゼロにする必要はありませんが、妊婦さん、授乳中の方、カフェインに敏感な方は、カフェイン摂取量をより少なくするため、カフェインを取り除いたデカフェ(カフェインレス)の製品やノンカフェインの製品(たんぽぽコーヒーなど)を利用するのも選択肢の一つです。
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まとめ
日本ではこれまで限定的だったデカフェ(カフェインレス)コーヒーの需要ですが、近年は健康志向の高まり(妊娠中のカフェイン制限、睡眠の質への関心など)を受けて、徐々に拡大しています。
本記事では、デカフェ(カフェインレス)とは?ノンカフェインとの違いから、デカフェ(カフェインレス)コーヒーの作り方(カフェイン除去の3つの方法)、普通のコーヒーとの味の違い?100mlあたり&1杯あたりの飲み物ごとのカフェイン含有量と安全なカフェイン摂取量の目安や妊婦さん、授乳中の方におすすめのデカフェ(カフェインレス)コーヒーまで、詳しく解説しました。
妊婦さんや授乳中の方、カフェインに敏感な方は、カフェインの摂取量をより少なくするため、カフェインを取り除いたデカフェ(カフェインレス)の製品やノンカフェインの製品を利用するのも選択肢の一つです。

