日本人の2人に1人が一生のうちに一度はがんを経験するとされ、がんは身近な病気となっています。
この記事では、どんなことががんの要因になるか? コーヒーを飲むとがんになるの? コーヒーを飲むとがんになりにくいの? がんになった後コーヒーを飲んでも大丈夫なの? などコーヒーとがんに関する様々な疑問をまとめてみました。
コーヒーと癌リスクの関係について、基本的なことを知りたいという方の参考になれば幸いです。
この記事のポイント
・コーヒーを飲むとがんになるの? … 国際がん研究機関(IARC)が、ヒトに対する発がん性に関する評価において、コーヒーの摂取とがん発症リスクの関連性を示す証拠はないという「グループ3」に分類しています。
ただし、飲み物や食べ物を熱いままとることは、がんになるリスク要因として考えられますので、熱いコーヒーは少し冷ましてから飲むようにする必要があります。
・がんになった後、コーヒーを飲んでも大丈夫なの? … 現時点で「がんになったらコーヒーをやめなければならない」という科学的な根拠はありません。
ただし、抗がん剤治療中のコーヒー摂取は、治療薬との相互作用などの観点から、注意する必要があります。
一生のうちにがんと診断される確率は?

日本人の2人に1人が一生のうちに一度はがんを経験するとされ、がんは誰にとっても身近な病気となっています。
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性61.1%、女性50.1%(2023年のデータに基づく)で、がんは日本人の2人に1人がかかる誰にとっても身近な病気となっています。
がんに罹患する(新たにがんと診断されること)確率 ~ 累積罹患リスク ※
※ 累積罹患リスクとは…ある年齢までにある病気に罹患する(その病気と診断される)おおよその確率。「生涯累積罹患リスク」の場合は、一生のうちにある病気に罹患する確率を表します。
★ 生涯がん罹患リスク(2023年データに基づく)
| 部位 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 全がん | 61.1% | 50.1% |
| 食道 | 2.3% | 0.6% |
| 胃 | 8.0% | 3.9% |
| 結腸 | 6.0% | 5.7% |
| 直腸 | 3.6% | 2.2% |
| 大腸 | 9.6% | 7.9% |
| 肝臓 | 2.5% | 1.2% |
| 胆のう・胆管 | 1.3% | 1.1% |
| 膵臓 | 2.7% | 2.7% |
| 肺 | 9.1% | 4.8% |
| 乳房(女性) | 11.8% | |
| 子宮 | 3.6% | |
| 子宮頸部 | 1.3% | |
| 子宮体部 | 2.3% | |
| 卵巣 | 1.6% | |
| 前立腺 | 11.2% | |
| 甲状腺 | 0.5% | 1.5% |
| 悪性リンパ腫 | 2.3% | 2.0% |
| 白血病 | 1.1% | 0.8% |
参照元:がん情報サービス>最新がん統計(外部リンク)
どんなことががんの要因になるか?

コーヒーとの関係でいうと、食生活において飲み物や食べ物を熱いままとることは、がんになるリスク要因として考えられます。
がんになるリスクを減らすためには、熱いコーヒーは少し冷ましてから飲むようにようにしましょう。
がんの要因
がんの要因には喫煙や飲酒、感染などがあります。日本人の男性では43.4%が、女性では25.3%が、喫煙や飲酒などの生活習慣や感染が要因でがんになったと考えられています。
日本人を対象としたこれまでの研究結果から、たばこ、お酒、食生活、身体活動、体重の5つの生活習慣に感染を加えた6つが、日本人のがんの発生に影響することが分かりました。
そこで定められたのが、科学的根拠に基づく「日本人のためのがん予防法(5+1)」です。
日本人のためのがん予防法(5+1)
科学的根拠に基づく「日本人のためのがん予防法(5+1)」
★ リスク要因別の推奨
1.たばこ
・たばこを吸わない。
・他人のたばこの煙を避ける。
2.お酒
・飲酒をひかえる。
飲酒は男女ともに喫煙・感染に次いで多いがんの要因です。
最近のリスク要因別の推奨では、お酒は「節酒する」から「飲酒をひかえる」へと変更されました。
少量の飲酒でもがんのリスクが上昇することが示されており、がん予防の観点からは「ほどほど」ではなく「飲まないことがベスト」とされるためです。
3.食生活
・減塩する。
・野菜と果物をとる。
・熱い飲み物や食べ物は冷ましてからとる。
飲み物や食べ物を熱いままとると食道がんのリスクが高まるという報告が数多くあります。
コーヒーとの関係でいうと、食生活において飲み物を熱いまま飲むことは、がんになるリスク要因として考えられますので、がんになるリスクを減らすためには、熱いコーヒーは少し冷ましてから飲むようにようにしましょう。
4.身体活動
・日常生活を活動的に過ごす。
5.体重
・太りすぎ・やせすぎに注意する。
・体重(BMI)は適切な範囲内にする。
6.感染
・感染の検査や予防接種を受ける。
がんの要因として、女性で最も多く、男性で2番目に多いのが「感染」です。
次に挙げたウイルスや細菌への感染は、がんの発生と関連があるとされています。
感染したら必ずがんになるわけではありませんが、ワクチンや治療法が開発されており、適切に対応することでがんになるリスクを減らすことができます。
(1)肝炎ウイルスと肝がん
(2)ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)と胃がん
(3)ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がん
参照元:がん情報サービス>がんの予防・検診>がんの発生要因と予防>科学的根拠に基づくがん予防法(外部リンク)
コーヒーを飲むとがんになるの?

国際がん研究機関(IARC)は、ヒトに対する発がん性に関する評価において、コーヒーの摂取とがん発症リスクの関連性を示す証拠はないという「グループ3」に分類しています。
そもそもコーヒーは、国際がん研究機関(IARC)※ の過去の発がん性の分類(1991年)では、ヒトに対して発がん性がある可能性のあるグループに分類されていました。
※ 国際がん研究機関(IARC)…世界保健機関(WHO)のがん専門の機関で、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動しています。
IARCによるコーヒーの発がん性分類評価の変更
コーヒーについては、IARCの過去の分類(1991年)において、ヒトに対して発がん性がある可能性がある「グループ2B」でしたが、2016年6月15日、ヒトに対する発がん性について分類できない(コーヒーの摂取とがん発症リスクの関連性を示す証拠はない)「グループ3」に分類した発がん性分類評価結果を発表しました。
IARCによる発がん性の分類
IARCは、主に、ヒトに対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、4段階に分類しています。
★ 国際がん研究機関(IARC)による発がん性の分類
この分類は、ヒトに対する発がん性があるかどうかの「証拠の強さ」を示すものです。
| グループ 1 | ヒトに対して発がん性がある。 例)アフラトキシン、アルコール飲料、加工肉、ベンゼン、ベンゾ[a]ピレン、PFOA(パーフルオロオクタン酸)など |
| グループ 2A | ヒトに対しておそらく発がん性がある。 例)アクリルアミド、亜硝酸塩、非常に熱い飲み物、レッドミート、タルクなど |
| グループ 2B | ヒトに対して発がん性がある可能性がある。 例)アスパルテーム、漬けもの、鉛、わらび、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)など |
| グループ 3 | ヒトに対する発がん性について分類できない。 例)コーヒー、マテ茶など |
参照元:農林水産省>国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について(外部リンク)
コーヒーの評価の概要
IARCは、ヒトへの発がん性について、コーヒーの飲用における発がん性は「証拠が不十分」と評価、膵臓、肝臓、乳、子宮内膜、前立腺のがんに対しては「発がん性がないことを示唆する証拠」があると評価し、コーヒーを飲むことは「グループ3」(ヒトに対する発がん性について分類できない)に分類しました。
なお、現在までに報告されている研究結果からは、コーヒーの種類やいれ方によりがんの発生リスクに明確な差があるかどうかは不明であるとしています。
コーヒーを飲むとがんになりにくいの?

科学的根拠に基づく研究によると、コーヒーの摂取により肝がんのリスクが低下することは「ほぼ確実」、女性の結腸がん、子宮内膜がんについてもリスクが低くなる「可能性あり」とされています。
国立がん研究センターのがん予防法についての研究によると、コーヒーの摂取とがん全体の死亡に有意な関連はみられませんでした(2019)。
また部位別では、コーヒーの摂取が多い人で肝がんのリスクが低くなることが示され(2019)、そのリスクはコーヒー摂取が1日1杯増える毎に約0.72倍になることが推計されました。
一方、大腸がんに関しては、コーヒー摂取との一貫した関連はみとめられませんでした(2016)が、コーヒーを1日に3杯以上飲む女性で結腸がんのリスク低下が示されました(2018)。
参照元:国立がん研究センターがん対策研究所 予防研究グループ>がん予防法の提示 2026年5月26日改訂版(外部リンク)
がんになった後、コーヒーを飲んでも大丈夫なの?

現時点で「がんになったらコーヒーをやめなければならない」という科学的な根拠はありません。
ただし、抗がん剤治療中のコーヒー摂取は、治療薬との相互作用などの観点から、注意する必要があります。
「がんになったらコーヒーをやめなければならないのか?」というコーヒー好きにとっては、とても大きな問題ですが、現時点では「がんになったらコーヒーをやめなければならない」という科学的な根拠はありません。
多くの研究では、コーヒーを飲むことで、がんの再発や死亡を直接的に増加させるという関連は、確認されていません。
むしろ大腸など、がんの部位によっては、がんになった後、コーヒーを飲むことで、再発や死亡リスクが低下する可能性が示されています。
ただし、抗がん剤治療中のコーヒー摂取は、治療薬との相互作用などの観点から、注意する必要があります。
まとめ
日本人の2人に1人が一生のうちに一度はがんを経験するとされ、がんは身近な病気となっています。
今回の記事では、コーヒーとがんに関する様々な疑問をまとめてみました。
科学的根拠に基づく研究によると、コーヒーの摂取により肝がんのリスクが低下するすることは、ほぼ確実とされていますが、がんは肝がんだけではありませんし、あくまで「リスクの低下」を示すもので、コーヒーが肝がんの予防薬になるわけでもありません。
★ コーヒー好きにとって、コーヒーは、おいしいから飲んでいるのであって、がんの予防のために飲んでいるわけではないので、がんとの関係で特に重要なのは、① コーヒーには、発がん性があるのか? ② がんになった後、コーヒーを飲んでも大丈夫なのか?という2つの問題です。
① については、国際がん研究機関(IARC)が、ヒトに対する発がん性に関する評価において、コーヒーの摂取とがん発症リスクの関連性を示す証拠はないという「グループ3」に分類しています。
ただし、飲み物や食べ物を熱いままとることは、がんになるリスク要因として考えられますので、熱いコーヒーは少し冷ましてから飲むようにする必要があります。
② についても、現時点で「がんになったらコーヒーをやめなければならない」という科学的な根拠はありません。
ただし、抗がん剤治療中のコーヒー摂取は、治療薬との相互作用などの観点から、注意する必要があります。

