純喫茶全盛の昭和の時代において、ネルドリップはサイフォンと並んで多くのコーヒー専門店や喫茶店などで代表的なコーヒーの抽出方法でした。
現在でも老舗の喫茶店やコーヒー愛好家の方々に根強い人気があります。
今回の記事では、昭和レトロな喫茶店の「深煎り粗挽きネルドリップコーヒー」の具体的な淹れ方の手順を詳しく紹介しています。
ネルドリップコーヒーの特徴である「とろりとした舌触りのなめらかな質感のコーヒー」を、ぜひ体験してみてください。
ネルドリップの特徴
ネル(nel)とは、フランネル(flannel)の略で、起毛した綿織物のことです。
ネルドリップは、このネルと呼ばれる布製フィルターを使ってコーヒーを抽出する方法で、ペーパーフィルターでは決して出せない とろりとした舌触りのなめらかな質感 のコーヒーに仕上がります。
ネルフィルターとペーパーフィルター
ドリップコーヒーを淹れる際のフィルターには、主にネルとペーパーの2種類があります。
ネルフィルターは、コーヒーの油分が適度に抽出されるため、深みとコクがあり、とろりとしたなめらかな舌触りになります。一方、ペーパーフィルターは、コーヒーの微粉や油分を吸着しカットするため、すっきりとしたクリアな味わいになります。
ネルドリップコーヒー
純喫茶全盛の昭和の時代において、ネルドリップはサイフォンと並んで多くのコーヒー専門店や喫茶店などで代表的なコーヒーの抽出方法でした。
とろりとしたなめらかな舌触りで、深みとコクを感じられるネルドリップコーヒーは、現在でも老舗の喫茶店やコーヒー愛好家の方々に根強い人気がありますが、家庭でコーヒーを淹れる方法として一般に普及しているのは、ペーパーフィルターを使ってコーヒーを抽出するペーパードリップです。
その理由はコーヒーの味の違いにあるのではなく、ペーパーフィルターが、後片付けがとても簡単なのに対し、ネルフィルターは、抽出後のネルの後片付けや保管が面倒で手間がかかることにあると考えられます。
ネルドリップに必要な器具
〇 コーヒー粉
〇 ネルフィルター ※ … ハンドルの先にネルがついたもの。淹れる杯数に合ったサイズを選びます。
〇 サーバー … 耐熱メジャーカップでも代用できます。
〇 ドリップポット … 専用の細口ポットが無くてもお湯は注げますが、あれば注ぐお湯の量やスピードをコントロールしやすくなります。
その他
〇 スケール(はかり)
〇 コーヒーカップ や マグカップ
※ 新しいネルのおろし方
ネルフィルターが新品の時は、糊や汚れなどがついている場合がありますので、使う前に軽く水洗いしてから、沸騰したお湯(or 出がらしのコーヒー液)で 10〜20分ほど煮沸し、その後洗い流してから使用します。
ネルドリップコーヒーの淹れ方
昭和の喫茶店の「深煎り、粗挽きネルドリップコーヒー」の具体的な淹れ方を紹介します。
今回は、ほとんどのお店で「浅煎り~中煎り」で提供されるエチオピアの豆をあえて「深煎り」にして使用します。
エチオピアの豆が「浅煎り~中煎り」で焙煎されるのは、その特徴である「モカフレーバー」を引き出すためですが、エチオピアの深煎りは、モカフレーバーこそ期待できませんが、スッキリとした上品な苦味で、深煎りの定番であるマンデリンとは、また違った苦味が楽しめます。
これ(エチオピアの深煎りを楽しむこと)が出来るのが、自宅(手鍋)焙煎の良いところです。
ぜひ一度試してみてください。
「コーヒー手鍋焙煎のやり方」については、別の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。↓こちらの記事
今回のレシピ(抽出条件)
・コーヒー粉 : 中粗挽きのコーヒー粉16g
・抽出量 : 200ml(マグカップ1杯分)
・お湯の温度 : 少し低め(80~85℃)
・抽出の時間 : 少し長め(3分~4分)
★ このレシピで、少し物足りないと感じる場合は、① 粉の量を多くする、② 抽出時間を長くする(少し濃すぎると感じる場合は、それぞれその逆)などで次回以降調整します。
抽出の手順
1.器具の準備
ネルフィルターをしっかり水洗いし、水気をできるだけ絞り、きれいなタオル(or ペーパータオル)に挟んで手のひらで圧着して水気を取り、シワを伸ばしておきます。
ネルフィルターの水気が十分に取れたら、ハンドルにセットします。

ネルフィルターをハンドルにセットする際は、起毛がある面を外側にくるようにセット※ します。
※ 起毛がある面は内側? or 外側?
ネルフィルターには、ふわふわした「起毛がある面」と、ツルッとした「起毛のない面」があり、どちらを内側(粉を入れる側)にするか? で諸説あり、どちらが正解ということはありませんが、一般的には起毛がある面を内側にするのが基本とされているようです。
起毛面を内側にした場合、起毛がコーヒーの微粉をキャッチしてくれるので、雑味の少ないクリアな味わいになりますが、起毛に微粉が入り込むため、使用後の洗浄に手間がかかります。
起毛面を外側にした場合、粉が接する内側がツルッとした平らな面になるため、使用後に付着したコーヒーの粉や微粉を洗い流しやすくなります。
個人的には、起毛面が内側か外側かで、気にするほど味には影響しないと思いますので、起毛がある面を外側にするのが、ネルフィルターの後始末が楽なので良いと思います。

サーバー(耐熱メジャーカップ)の上にネルフィルターをセットし、コーヒー粉を入れます。
やかん等で沸騰させたお湯を専用のドリップポットに移します。
このとき、サーバーとマグカップにもお湯を注いで、あらかじめ温めておきます。
2.蒸らし(1回目の注湯)
抽出の基本は、ペーパードリップと大きな違いはありません。
コーヒー粉全体に少量のお湯を注いで、しばらく(少し長めに1分ほど)おきます。
この工程で粉内部の炭酸ガスを抜き、成分を抽出しやすくします。
注湯を止めると粉がふくらんできます。そのふくらみが止まって、ツヤが無くなってきたら2回目の注湯に移ります。

3.抽出
コーヒー粉の中心に2回目の注湯をし、泡が出てきたら、お湯がフィルターに直接当たらないように、中心から外へ円を描くように細くゆっくりと注湯していきます。
コーヒー粉の中央部分が、ややまわりよりもへこんだタイミングで、注いだお湯が落ちきる前に、次のお湯を注ぎます。

ネルフィルターからコーヒーの抽出液が、一本の糸のようにサーバーに落ちていきます。

4.抽出完了
お湯を数回に分けて注ぎ、必要量がサーバーに落ちたら抽出の完了です。

5.カップに注いで出来上がり
温めたマグカップに注いで出来上がりです。
とろりとしたなめらかな舌触りがネルドリップコーヒーの特徴です。
スッキリとした深い苦味とコクがあり、ほのかな甘みも感じられる、極上のネルドリップコーヒーが出来上がりました。

ネルフィルターの洗い方と保管方法

ネルフィルターのお手入れは、使用後の水洗いと、油分の酸化を防ぐための「水に浸した冷蔵保管」または「冷凍保管」が基本となります。
■ 使用後のネルフィルターの洗い方
水を流しながら、指でしっかりゴシゴシともみ洗いします。
洗剤や漂白剤などで洗うことは避けます。
■ すぐに使う場合
使用後のネルにはコーヒーオイルなどが付着しています。そのままにしておくと、油の成分が空気に触れて酸化し、ネルに臭いがついてしまうため、きれいな水を張ったタッパーなどの密閉容器に全体がつかるように入れて、冷蔵庫で保管します。
水は2~3日に1回を目安に取り替えます。

■ 長く使わない場合
1週間以上ネルフィルターを使わない時は、濡れたままでジップロックなどの密閉袋に空気を抜いて入れ、冷凍庫で保管しておきます。
使う時には、お湯をかけるなどして解凍し、しっかり水気を絞って使います。

■ 定期煮沸と交換の目安
10回ほど使用したら(または臭いや油分が気になったら)、鍋などで10分ほど煮沸し、ネルフィルターに付着している古い微粉や油分を取り除くことで、ネルフィルターが長持ちします。
ネルフィルター交換の目安として50回ほど使用したら、新しいものに取り替えます。
まとめ
純喫茶全盛の昭和の時代において、ネルドリップはサイフォンと並んで多くのコーヒー専門店や喫茶店などで代表的なコーヒーの抽出方法でした。
現在でも老舗の喫茶店やコーヒー愛好家の方々に根強い人気があります。

ネルドリップは、ネルフィルターの管理が面倒で手間がかかるため、家庭でコーヒーを淹れる方法として一般に普及しているのは、ペーパードリップです。
それでもネルドリップによる抽出は、ペーパードリップでは決して出せない「とろりとした舌触りのなめらかな質感」のコーヒーに仕上がります。
今回紹介した、昭和レトロな喫茶店の「深煎り粗挽きネルドリップコーヒー」の淹れ方をぜひ試して、贅沢なコーヒータイムを楽しんでください。


